末期がん患者にも光明|人工透析は手術で治る|未来を笑顔で乗り切るために

人工透析は手術で治る|未来を笑顔で乗り切るために

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末期がん患者にも光明

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免疫細胞無力化でがん発症

がん発症のメカニズム解明が進み、新たな研究成果を臨床研究に生かすための新薬や治療法開発も相次いでいます。従来のがん治療は手術や放射線・抗がん剤に頼っていましたが、免疫の力でがんを治す免疫療法ほど新技術の開発が目覚ましい分野はありません。健康な人でも毎日数千個という単位で発生しているがん細胞は、体が元気なら免疫の力で短時間のうちに消されています。人間には老化した細胞や不完全な細胞を自然死に導くプログラムが仕込まれており、がん細胞の排除もNK細胞やT細胞などが担当しているのです。ストレスや炎症・発がん物質などの影響でこの免疫力が低下すると、自然死を免れて異常な増殖を始めるがん細胞が出てきます。強いストレスを受けたときに分泌されるホルモンは、ATF3という遺伝子を作動させてがん細胞に対する免疫細胞の攻撃を無力化させてしまいます。低下している免疫細胞の働きを取り戻し、がん細胞への殺傷能力を回復させる治療法が免疫療法です。どれほど免疫細胞を強化しても、がん細胞がその攻撃を無力化する防御システムがある限り十分な効果を発揮できません。この防御システムを打破するのが免疫チェックポイント阻害剤です。

末期がんでも寛解例

免疫チェックポイント阻害剤はがん細胞の持つPD-L1という抗体を無効にすることで、免疫細胞の攻撃力を取り戻すという新しい免疫療法です。細胞傷害性T細胞はがん細胞への高い殺傷能力を持っていますが、誤って正常細胞まで破壊しないよう保護するための仕組みも体内に備わっています。PD-L1という抗体は、T細胞の暴走を防ぐための防御システムなのです。がん細胞はこれを巧みに利用してT細胞の攻撃をかわし、無制限に増殖しようとします。免疫療法を大きく変えた免疫チェックポイント阻害剤は、このPD-L1抗体と結びついてT細胞の攻撃力を回復させてくれます。当初は皮膚がんの一種メラノーマで有効性が認められましたが、その後肺がん治療にも保険適用され、今後はさらに多くのがん療法への拡大が期待されています。従来のがん免疫療法の弱点を大きく改善させた免疫チェックポイント阻害剤は、いろいろなタイプのがんに対して臨床試験が実施中です。遺伝子などの条件合致は前提とされますが、中には末期がんが寛解したという例も報告されています。手術不能のがん患者に光明を与える治療法として、免疫療法には大きな可能性が秘められているのです。